私が初めてもらった仕事は、某公共団体の税金システムの保守業務であった。この税金システムは、オンライン・バッチ合わせて600本余りある中規模システムで、当時の私は、まず良く使うオンラインプログラムの改修を担当し、その次にオンライン全般を任され、そのうちシステム全体を理解することが出来た。多分ここまでに5年近くの時間を要していて、ボトムアップアプローチでシステム全体を理解した感じだ。
その後、別システムの保守業務をリーダとして担当したのだが、そのシステムはプログラムが1,500本もあり、ボトムアップでシステム全体を理解することが難しかった。というのも、システム規模も大きかったし、私の立場ではゆっくりとシステムを理解する時間をもらえなかったからだ。
そこで、プログラムからすそ野を広げて全体を理解するのではなく、全体の業務フローやシステムの処理フローを押さえ、そこに流れるデータを理解し、対象となるプログラムを見極める、という考え方に頭を切り替えた。プログラムの1本1本のディテールを理解していないことへの不安は残ったが、結果的にはシステム全体を早期に理解し、役割を全うすることが出来た。
後にシステムコンサルティング業務を従事する私にとって、この時の経験や修得した考え方はとても重要なものとなったことは言うまでもない。システムコンサルタントは、あえてディテールには入らずに、まずその業務やシステムを全体的に俯瞰する能力が問われる。まさにトップダウンアプローチの視点で、何をやっている業務やシステムなのか、経営目線では何が課題となっているのか、を迅速に大枠でとらえることが求められるからだ。
ただ、トップダウンアプローチだけで全くディテールに入らなくてもいいか、というとそうとも言い切れない。シニアコンサルタントレベルであれば、必要に応じてあえてディテールを追求することがあるのだ。と言うのも、トップダウンアプローチだけではどうしても上っ面をなめるような分析や計画となってしまい、臨場感のあるものとならないこともある。よって、コンサルタントには、トップダウンアプローチとボトムアップアプローチの両方を、上手に使い分ける能力も必要となってくる。
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