JRA馬券販売機UMACAを使ってみた!

 私は競馬が大好きである。もっと言うと競馬場に行ってライブで競馬を見るのが大好きだ。
 馬券はインターネットで買えるし、いろいろなメディアでレースを見ることが出来るが、それでも私は目で見て良いと思った馬にベットすることが楽しい。その場で、お金を払って馬券を買い、当たったら換金するのも快感だ(圧倒的に馬券を買うだけで換金する機会は少ないがw)。

 私がよく行く東京競馬場には、多い時で10万人以上の人が来る。これらの人が30分おきに行われるレースに対して馬券を買うのだから、相当数の馬券を買うデバイスが必要になる。
 競馬場に来た多くの人は、購入したい馬券をマークカードに書いて、現金とともにCDのような機械に入れると馬券が発行される。
 この機械は、現金を取り扱うためかなり大型だし、現金の取り扱いのトラブルに備えて設置されている場所には必ずJRAの職員が待機していている。
 東京競馬場内に、この機械が何台あるか数えたことがないが恐らくは500台以上はあるのではないか。相当のコストだ。

 そこで、最近、専用のICカードを使った「JRA-UMACA(ウマカ)」を使って、「馬券レス」「現金レス」で馬券が買える新しいサービスが出てきた。
 まずUMACAカード(下記写真を参照)を作る必要があるのだが、これは競馬場内の何か所かでカードを製造するブースがある。利用者の静脈認証の登録が必要となるが、カード発行まで10分程度で出来る。

 このUMACAカードを使って馬券を買うためには、まず現金も取り扱えるUMACA専用機(下記写真を参照)で、現金を投入してチャージをする必要ある。ただし、このチャージした現金そのものは換金することができないのがミソだ(PASMOでもチャージした現金を換金できないのと原理と一緒)。

 この状態になると、チャージした分だけ馬券を買うことができる。上記、現金を取り扱うUMACA専用機でも馬券は買えるが、馬券購入だけに特化したUMACA専用機(下記写真を参照)もあり、これは現金を取り扱わないのでとてもスリムだ。また、職員が待機する必要もなく、いろいろなところに設置することが出来る。

 馬券を買う際、UMACAカードをこのUMACA専用機にタッチして読ませて、静脈認証をしたあと、マークカードまたはスマホで作成したQRコードを読ませると馬券が買える(下記写真を参照)。
 ただし、従来の投票情報が記録された馬券ではなく、購入した内容が記載されたレシートが発行される。的中すると、その配当額がUMACAカードにチャージされるのだが、この配当として得た金額は現金として引き出すことが出来る仕組みだ。

 例えば最初に5,000円を現金でチャージしたとする。その後、1,000円分の馬券を買って外れたとしよう。残りで買える馬券は4,000円となる。この4,000円は現金として引き出すことは出来ず、馬券しか買えない。次のレースで2,000円分の馬券を買うと、残りは2,000円となる。
 仮にこれが的中して3,000円の配当があった場合、UMACAカードにはチャージされて合計5,000円(残り2,000円+配当3,000円)となる。この状態で、もちろん馬券は5,000円まで買えるのだが、配当分の3,000円は現金として引き出すことが出来る。

 さて。私はこの頃、このJRA-UMACAを使って馬券を買っている。最初はなんか味気ないな、なんて感じたが使うほど「良く出来ているな」と感じる。

①UMACAカードを落としても大丈夫な仕組みとなっている

 馬券を買ったり、お金を引き落とす際には、いくらカードをかざしてもダメで、静脈認証をしないといけない(本人の体がないと買えない)。
 レース毎に、カードを出したり入れたりする必要があるので、わりとこのカードを雑に扱い、カードを落としてしまうリスクがけっこうあるのだが、落としても大事に至らないように配慮されている(私は胸ポケットに入れて出し入れしている)。

②当たった時に現金で換金される喜びが得られるように配慮している

 競馬場での喜びの1つは、大当たりしたときに、機械から現金が出てくるところだ。インターネットで馬券を買うと、単に口座の数字だけが上がり下がりするだけで生々しい喜びは少ない。ところが、このUMACAの仕組みは、配当は現金で引き出せるので、生々しい喜びを得ることもできる。

③競馬場内のいろいろな場所でUMACA専用機械が設置されるようになった

 いままでは、現金を取り扱うので、決めれた場所に多くの機械を並べて、その裏側に職員を配置していたが、馬券購入に特化したUMACA専用機はその必要がない。そのため、競馬場内の多くの場所に設置されていて、自分の導線上にある機械を使うことができる。

④カード発行から馬券購入における操作が必要最小限のオペレーションが済むように設計されている

 UMACA専用機でのオペレーションや見た目(ユーザインタフェース)はとても工夫されている。馬券を買う人は、早く買わないと締め切りになってしまうので焦っている人が多く、また、デジタルに弱い世代(ご高齢の方)も多いが、オペレーションは必要最小限に設計されているし、見た目もとても直感的だ。良く出来ている。

 

 JRAにとっても、これにより現金の取り扱いと馬券の購入を分けて、職員数や機械の導入費用を大分減らすことが出来るし、利用者にもかなりのメリットがある仕組みを作り上げている。
 恐らく、ハード面及びソフト面で、我々のようなコンサルタントやエンジニアが多く関わっていると思うが、これだけの完成度のある仕組みを作るためには、相当いろいろな検討をしてきているのが同業者だからこそわかる。

 あらゆる利用者を置き去りにすることはなく、いままでの良いところはしっかりと残し、それでいて課題を解決している。まさに私が目指すべきDXそのものだ。私がいままで投じた馬券が、このDX実現に寄与していると思えば鼻が高い(負け惜しみ)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です