定型化したコンサルティングサービスを横展開する難しさ

 前回のコラムでは、YouTubeを活用したビジネス展開の難しさについてお話ししました。今回はその続編として、「定型化したコンサルティングサービスを横展開することの難しさ」をテーマに取り上げます。

二度の組織立ち上げと挫折

 2004年、私が始めたとあるコンサルティング業務が徐々に広がり、小さな組織が誕生しました。立ち上げから2年間は順調に拡大し、10名を超える体制となりました。しかし3年目、既存2社に加えて新規1社の計3社に提案したものの、いずれも失注。業務がゼロとなり、組織は解散に追い込まれました。

 その後2009年、某省庁の大規模な工程管理コンサルを受注したことを契機に、再びコンサルティングを実施する組織が立ち上がり、私はその管理職を務めました。案件の難易度は以前とは比べものにならないほど高かったのですが、会社のバックアップ体制も充実していたことで、3年間は継続できました。しかし、この大規模コンサル案件が売上の約8割を占めていた状態で、4年目にこの案件の失注を機に、再び組織が崩壊してしまいました。

経験の少ない組織と属人性の限界

 こうして私は、コンサルティング組織を何度か立ち上げては、解散させることを繰り返してきました。敗因はいくつかありますが、ひとつ大きな要因は、案件獲得をきっかけに急造したチームだったことがあります。経験の浅いメンバーが多く、特定の大手顧客に「全員野球」で対応せざるを得ず、主力顧客を失った瞬間に組織として立ち行かなくなるというパターンでした。

 この頃から、「経験の浅いメンバーでも一定レベルのコンサルティングが行える仕組み」として、実績のあるコンサルティングを定型化し、より多くの顧客に対して、廉価かつ迅速、さらに品質の安定したサービスを提供したい、という思いが芽生えました。

現在の取り組み:定型化サービスの開発

 この過去の経験を活かし、現在の会社では主力顧客への依存を避けつつ、コンサルティング手法の定型化に取り組んできました。現在、以下のようなサービスを展開しています。

●外部PMOコンサルティングサービス
プロジェクトオーナーに対し、第三者視点で状況を評価・エスカレーションするサービス。

●DX推進・DX認定支援サービス
DX推進に向けた計画策定および、経産省の「DX認定制度」取得を支援。

●ひとり情シスリスク診断アセスメント
中小規模の情報システム部門に対し、経産省「システム管理基準」に基づく簡易診断サービス。

 さらに今年度は、以下4つのサービスのメニュー化を進めています。
①中堅SIer向け中期事業計画策定支援
②プロジェクトフェーズゲート策定&運営支援
③BCM/BCP策定支援
④ノーコード・ローコード導入可能性診断支援

横展開の現実と限界

 では、当社においてコンサルティングの「定型化サービス」の横展開はうまくいっているのか。

 まず、「本当に定型化ができているか?」という問いに対しては、答えはNoです。
 手順書や成果物の雛形は整備できているものの、コンサルティングは顧客の状況に大きく左右されるため、どうしても内容にオーダーメイド性が残ります。手順があることで迷わず進められる反面、「考えずに実行できる」ほどのテンプレートにはなり得ません。もし完全な定型化が可能なら、それはもはや“作業”であり、“コンサルティング”とは言えないでしょう。

 一方で、「経験の浅いメンバーが対応できるようになったか?」については、答えはYesです。
 もちろん、完全に一人で完結するには至りませんが、シニアコンサルタントの軽い支援があれば対応可能となり、必要なリソースも大幅に削減できています。成功体験が積み重なれば、それぞれの得意分野が見えてきて、成長速度も上がるはずです。

 また、もう一つ大きな課題があります。それは、想定よりも受注が少ないこと、正確に言えば、そもそも引き合いが少ないという点です。
 広報にコストをかけていないことも一因かもしれませんが、たとえ多数の引き合いをいただいたとしても、オーダーメイド部分が残る以上、大量に対応できるものではありません。

まとめ:今後に向けて

 以上をふまえると、現時点では「定型化したコンサルティングサービスの横展開」は思うように進んでいません。このまま個別サービスとして展開を続けるかは再考の余地があります。
 とはいえ、経験とノウハウを体系化・メソッド化していくことには意義があります。もう少し試行錯誤を重ねながら、この道を模索していきたいと思います。

*ChatGPTで原文を修正しています。