「コンサルタントに必要な能力は何ですか?」
そう聞かれたとき、私はまず「ヒアリング能力」と答えるようにしている。
このテーマについては以前のコラムでも書いた。
ヒアリング能力を支える、いや“引き立たせる”能力がある。それが質問力だ。
私は自分が質問の達人だとは思っていない。ただ、必要な情報を引き出すための質問は、何とか実践できているつもりだ。
今回は、私が質問をする際に心がけていることを整理してみたい。
① 事前準備その1 ― とにかく理解を深める
ヒアリングの対象は、システム課題であったり、業務プロセスであったり、テーマはさまざまだ。中には「当日お話しします」と事前情報がほとんどないケースもある。
それでも、配布資料は当然として、公開情報や類似事例などを徹底的に調べ、自分なりの理解を最大限深めておく。質問力の前提は「無知を自覚しつつ、無知のまま行かない」ことだと思っている。
② 事前準備その2 ― 聞きたいことを言語化する
理解を深めたうえで、「自分は何を知りたいのか」を洗い出す。
可能であれば質問表として整理し、事前共有する。これは単なる準備ではなく、お客様への配慮でもある。
もう一つ大切にしているのは、対象への興味だ。
お客様が何を聞いてほしいのか分からなくても、業務や資料を読み込めば、必ず疑問は生まれる。その疑問を放置しないことが、良い質問の種になる。
③ 質問開始時 ― まず、語ってもらう
ヒアリング当日、準備した質問を上から順番に聞くこともできる。
だが、それならAIでもできる。
まずは、お客様に自由に語っていただく。こちらが質問しなくても、背景や問題意識、考えを話してくださることは多い。その流れに乗る。質問表は一旦横に置き、会話の中から問いを立てる。
ここで重要なのは姿勢だ。
・謙虚に、もっと知りたいという気持ちを持つこと
・相手の立場に立ち、教えを乞う姿勢でいること
「もっと聞かせてください」という純粋な関心は、必ず伝わる。そして、相手の立場を慮って生まれた質問は、表面的ではなく、内面に届く。この姿勢があると、想定以上に深い答えが返ってくる。
④ 質問終了時 ― 準備との照合
一通りの対話が終わったら、準備した質問表を確認する。概ね聞きたいことが聞けていれば上出来。会話に出てこなかった項目があれば、最後に補足として尋ねる。
実はこのタイミングの質問は、意外と盛り上がる。すでに相互理解が深まっているため、より踏み込んだ議論になることも多い。
⑤ 事後 ― 記録と即時フィードバック
ヒアリング後は、準備した質問表に回答を整理し、追加で得られた情報も追記する。
そして、できるだけ早くお客様に共有する。認識の齟齬がないか確認していただくためだ。
このフィードバックを楽しみにしてくださるお客様も多い。「ちゃんと聞いてくれていた」という証にもなる
さいごに
質問力とは、特別な技術ではない
ここまで書いてみて気づくのは、特別なテクニックは何一つないということだ。
・事前に準備する
・相手に興味を持つ
・謙虚に聞く
・きちんと記録し相手に返す
いわば精神論、あるいはコンピテンシーの話かもしれない。しかし、コンサルティングの現場で成果を分けるのは、往々にしてこの当たり前の積み重ねだと思っている。
質問力とは、問いの巧みさではなく、相手と本気で向き合う姿勢の総量なのではないだろうか。少しでも参考になれば幸いである。







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