日経新聞社説「相次ぐシステム障害に企業は危機感を」を読んで

 R6年5月15日の日本経済新聞の社説に「相次ぐシステム障害に企業は危機感を」をという記事が出ていた。要点は以下の通り。
・国内の有力企業で情報システムの障害で事業に深刻な影響が出ている事例が多発
・経営者は情報システムが企業経営と一体化していることを認識すべき
・一方で、自社システム部門の体制は縮退しておりノウハウが蓄積されていない傾向
・踏まえて、システムの企画機能は自社で維持するとともに、不要な業務を整理し市販サービスを最大限に活用すべき

 この社説を読んで私が普段考えていることをつぶやかせて頂く。

①いまいま、QCDを予定通り守った情報システムの開発は20~30%程度と言われている。
 言い換えると、情報システムの開発や運用において予定通りいかないことは当たり前で、むしろそれが起こったときに対処する力(レジリエンス力(回復力))が問われている。
 例えば、開発スケジュールにストレッチを効かせておく、とか、開発チームの構成を工夫をする、とか考慮しておくことが重要になってくる。

②昨日PayPayがシステム障害を起こし多くの利用者に影響が出たように、システム障害はその企業の経営や業務に大きく影響を与えることが多く、その距離感(時間的な距離も含めて)はもはや表裏一体だと思う。
 その割に、情報システム部門は、コストとみられることが多く、あまり予算や体制が増えてきていない。経営と表裏一体の距離にある割にはそれでは心もとない話だ。
 一方で、小~中企業が、IT人材を自社で育成して多くの業務を抱えるのも実態として難しいことだ。外部人材を活用してもいいので、社説にあるように企画機能やベンダ等のコントロール機能だけは自社でイニシアティブを持つべきだと思う。

③従来から良く言われている「業務をパッケージ(=市販システム)に合わせよ」ということが社説でも説かれている。
 市販システムをベースに開発する際、最初はどの関係者も「その通り」と同意するが、いざ作り始めると、相当強いコントロールをしないと実現しない。「言うが易し行うが難し」そのものだ。
 私自身、このコントロールが上手くできず、過去にものすごい失敗を引き起こした経験を持つ。15年以上経ったいまでも「あの時自分はどうすればよかったのか」と度々思い出すくらいだ。

 この社説は、私がいつも考えていることをとても端的に記載されていた。ぜひとも機会があればご一読頂きたい。
 前にも書いたが、私は自分の失敗だけで本が書けるくらい、いろいろしでかしてきた人間だ。こんな私に出来ることは、この失敗が繰り返されないように、勇気をもって、いま目の前にいるお客様や未来のお客様に進言していくことだと思っている。