卒業

 昨日、次男の大学の卒業式に妻に引っ張られて出席した。次男は東京理科大学を今年卒業したのだが、実は私の母校でもある。31年前の私は、留年したり家族に病人を抱えていたりして、とても世の中に対して斜に構えていた時期で、大学の卒業式も欠席をしていた。

 今回式典の中で、東京理科大学の石川学長が学生に対して祝辞を述べられていた。その内容は、システムコンサルティングを生業にしている私が聞いても、とてもレベルが高く、それでいて、論理的で熱い想いが込められていた。

『大学で得たことは、知識だけではない。帰納法や演繹法などを使った仮説と検証を論理的に思考することを身につけたはずだ。』
 私の生業であるコンサルティングをするなかで、最も重要なスキルの1つだと言っているロジカルシンキングそのものだ。大学で学んだことはあまり役にたっていない、といつも思っていたが、もしかするとここで培った能力を使って私は今の仕事をしているのかもしれない。

『企業に入ると大学とは違い、いろいろな制約はあると思うが、その中でも精一杯知恵を絞って新しいことにチャレンジして欲しい。』
 高校を出て、当たり前のように大学に入り、当たり前のように社会人になって、会社が斡旋した第2キャリアを進んでいた。メインストリートを外さないように歩いていたような気がする。ところが昨年、自分が人生でやりたいことは何かを本気で考えて起業をした。やっと、本当に自分の進みたい方向に素直にチャレンジが出来た。

 恥ずかしながら、55歳のいまになって、やっと石川学長の言葉に呼応できる人間になれたような気がする。今回、卒業したのは次男だけでなく、私も31年の時を経て無事卒業できたのかもしれない。