最近、当社に依頼のあるコンサルティングは、開発プロジェクトの状況を少し離れた距離から見て問題点を指摘したり、営業案件を受注するための戦略を提案する、ようなアドバイザリー業務が多い。この業務は、相対する担当者から報告や情報をもらって、そこに我々の経験や知識を加味して、何かしらのアドバイスをすることになる。
担当者からもらう報告は、概ね事実ではあるが、自身の立場や目線での報告に留まることが多い。言い換えると、自分の立場を下げるような事案にはややオブラートに包んだ報告となりやすいし、例えば面白く思っていない相手に関する事案には負の感情が入ってしまう。担当者からの報告を尊重することはとても大事だか、一方で、「特定の一人が一方向から見ている事象」であることも常に意識する必要がある。
こんな時、我々はどうしているか?以下のように複数の情報をできる限り集めた上で、複数の目線で確認するようにしている。
・特定の担当者だけでなく、同じ場面にいる違う担当者からも話を聞いてみる
→管理職と担当者のように立場の違う人から別々に話を聞くことが重要
・別の立場で参画している関係者から話を聞く
→例えば、発注者側の担当者から開発プロジェクトの進捗を聞くだけでなく、場合によっては開発側のリーダと直接話をして言い分を聞いてみる
・我々コンサルタント側も、担当者の報告を複数で聞いて、お互いにどのようなに感じたかをすり合わせして報告の確からしさを高める
・生々しい情報を得るためにも、当該活動を実施している会議等に出席させてもらい、自分の目耳でその空気感を確認する
アドバイザリー業務における発言は、顧客にとって総じて重たいものとなる。決して中途半端な情報だけに惑わされて、明らかなミスリードをするようなことがあってはいけない。そのため、コンサルタントは、特定の担当者からの報告や自分自身の感性だけに依存しないような仕掛けを講じたうえで、アドバイスをする内容を考える必要がある。まさに「複数の情報を集めて総合的に判断する能力」であり、この情報収集ルートを自身で確保・開拓することも含めて、コンサルタントに必要な能力と言える。
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