いまさらDXについて改めて考えてみた

 DXの意味を改めて調べてみると、「デジタルトランスフォーメーション(英: digital transformation)のことで、デジタルテクノロジーを使用して、ビジネスプロセス・文化・顧客体験を新たに創造(あるいは既存のそれを改良)して、変わり続ける市場の要求を満たすプロセスである(出展:Wikipedia)」と出てくる。

 私が認識している意味もほぼ同じで、補足するなら、レガシーシステムの維持に工数をかけるのではなくその工数は新たなビジネスの創出にかけるべきで、その本質にはBPRがある(業務の見直し)、といったところだろう。
 私のお客様でも、このDXを掲げて、既存の業務を見直して新たなSaaSを導入しようとしてしたり、DXニーズのあるお客様の応えるための新サービスの開発をしたりと、このキーワードを機会ととらえており、取り組みは活況と言える。ただ、最近ちょっと気になる話を2つほど聞いた。

●1つ目は、ある地方自治体がコンサルタントを雇って、地場企業に対してDX推進の支援させているのだが、コンサルからは「ワークフローシステムを入れよう」とか「給与計算のBPOをしよう」とかソリューション主体の提案がされている、という話。

●2つ目は、ある中堅コンサルファームが、地方の中規模企業にDXを進めるためのコンサルティングを提案しようとしたが、「そもそもDXで何をすればいいかよくわからないのだから、なおのことコンサルの必要性なんてわからない」と提案の入り口にも立てなかった、という話。

 実はこの2つの事例を聞いた時、「この話に出てくるお客様のような進め方や受け止め方じゃダメじゃない」と直感的に感じてしまった。というのも、私が相対しているお客様は、DXの本質をある程度理解し、とはいうもののそれをどのうように進めていけば上手くいくものか、という感じでご相談を頂けている。あまり意識はしていなかったのだが、既にお客様自身が、数段の階段を上っているところにいて、私もこれがこれが当たり前だと思ってコンサルティングをしていたのだ。

 この2つの事例が表すように、いままで私がやってきているアプローチではきっと届かないお客様がいることを認識した。とはいえ、本当はこのようなお客様こそ、とても困っていて、DXに取り組めば絶大な効果を出す可能性のあるのに、何をすればいいかわからないから何もしない、というところに留まってしまっているように感じる。
 DXの本質から目をそらしてはいけないが、一方であまりそれを優先させすぎる格好の良いコンサルではなく、このようなお客様の目線に合わせ、階段を一段づつ上がるところに寄り添っていかないと、この問題は解決しないような気がする。そう考えると1つの目の事例も理解できることは多分にある。

 当社は幸いにして、小さなコンサルファームということもあり、大所高所かつ大きな労力とコストをかけてDXを推進することが出来るお客様だけでなく、格好は良くないかもしれないが次の一歩に寄り添うコンサルが必要なお客様にも柔軟な対応をすることが出来る。今年はぜひともこういったお客様に寄り添うコンサルティング業務を増やしていきたい(きっとあまり儲からないと思いますがそれも良しです)。