私は聞き上手にいつなれるのか

 先日、一昨年前に他界した父の代から付き合いのある保険代理店の方と会った。1年に1度、我が家に来て保険の継続手続きをするのだが、父もたいそうお気に入りで、彼が来るのを楽しみにしていた。
 というのも、とても気持ち良く人の話を聞き、相手の言葉を引き出してくれて、まさに聞き上手を絵に書いたような方なのだ。私も、いつもの保険の継続手続きが終わったあとに、起業したばかりの私に合う保険についてためしに聞いてみた。

 彼の凄いところは、待ってました、とばかりに保険のセールスをするのではなく、私が起業した事業に話題を持っていって、その特性を上手く聞いてきたのだった。また、長年保険代理店を経営をしている彼は、駆け出しの経営者である私に、会社運営のちょっとしたコツを教えてくれるものだから、私も次々情報を出して相談をしてしまう。
 結局、彼は自分の喋りたいことは二の次にして、私から、生活環境、仕事内容、興味のあること、考え方、スタンス、心配事などをトコトン喋らせて収集したのだ。喋ってる私も、とても気持ち良く話を聞いてもらったとため、なんか楽しいのだ。

 最終的には保険商品の提案となるので、商品そのものは、どの会社から聞いても大差のないものだが「なぜその商品が私に合っているか」を的確に刺さる言葉で提案してきた。まさに聞き上手だからこそ出来るプロの技だ。
 私は、この聞き上手の域にいつ達するのだろうか。きっと私は、自分の話を二の次に出来ない性格なので、いつまでたっても無理だろう。残念。