コンサルタントに求められる能力㉖人と人をつなげる力

最近の私の仕事は、アドバイザー業務が中心になっている。この場でも何度か触れているが、相手は複数のSIerや公共団体であり、理事クラスから現場の管理職まで、そのレイヤは実に幅広い。

基本的には対価をいただいてアドバイスをしているが、営業的な場面で会話をすることも少なくない。要するに、さまざまな組織や人から「相談」を受ける立場にある。

その相談の中身も、ここ数年で大きく変わってきた。かつては「どんなシステムを作るべきか」「この技術は妥当か」といったテーマが多かった。しかし、還暦が近づいた今、そうしたシステム寄り・技術寄りの相談は減り、代わりに増えているのは、より上流の話だ。

SIerであれば経営視点での意思決定や営業戦略。公共団体であれば、長期的な施策の進め方や実行体制の設計といったテーマである。

そして、こうした相談に共通しているのは、「自分たちだけでは実現が難しい」という前提があることだ。だからこそ外部に相談してくる。不足しているのは、単なる知識や経験だけではない。実行に移すための“プレイヤー”が足りていないケースが非常に多い。

ここでよく言われるのが「人脈の重要性」だ。SNSなどでは、何百人、何千人とつながっていること自体をステータスのように語る人もいる。
ただ、こうした場面では数はあまり意味を持たない。重要なのは、「実際に戦力として動ける人」を見つけられるかどうかだ。そして、その人たちと自分たちの力をどう組み合わせ、次の一歩につながる提案ができるかである。

ちなみに、私は昔から人付き合いが得意な方ではない。人脈も多くはないし、知り合いも決して多いとは言えない。それでも、いま、ビジネスで関わっている方々は、お互いの力量や人間性を理解している人が決して多くはいないが確実にいてくれている。

こうした関係性があると、何かを依頼したときに「できるかどうか」ではなく、「どうやったら実現できるか」から考えてくれる。だから話が非常に早い。

例えば、ある公共団体から実施体制について相談を受けたとする。
深く付き合いのあるSIerが3社、それぞれに信頼できる知り合いが5人いるとする。そして自社にも専門性を持つコンサルタントが5人いる。これだけで、単純計算でも3社 × 5人 × 5人で、75通りの組み合わせが考えられる。

人脈が多くなくても構わない。それが“実際に相談できる関係”であれば、あとは知恵の使い方次第だ。誰の力をどのように組み合わせれば、目の前の課題に最適な形になるのかを考えればいい。
そう考えると、「何もできない」という状況はほとんどない。選択肢さえあれば、「何かできること」は必ず見つかるはずだ。

コンサルタントに求められるのは、まさにこの力である。人と人、企業と企業をつなぎ、価値のある形に再構成する力。
ただし、その前提として重要なのは、つなぐ相手をどれだけ深く理解しているかだ。SNSでたまたま知り合った程度の関係では、責任を持って紹介することはできない。お互いの力量や人間性を理解しているからこそ、安心してつなぐことができる。

では、この力はどうやって身につけるのか。派手な近道はないが、いくつか意識すべき点はある。

  • 自己保身に走らず、誠実に仕事をすること(自分の力量や人間性を積極的に理解してもらう)
  • 同じスタンスで仕事をする人とは、いつかまた一緒に仕事をすることを期待して、案件が終わっても継続的に連絡を取り合うこと
  • 会社としてだけの付き合いではなく、「個人」としての関係性を築くこと(意外と大企業の方に限ってこれをやっていない方が多い)

結局のところ、「人をつなぐ力」とは特別なスキルではなく、日々の仕事の積み重ねの延長線上にあるものだと思う。

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