残念なシステムコンサルタント①座学に長けているが、リアリティに欠けるコンサルタント

私はこれまで、金融系シンクタンクにおいて公共団体向けのシステムコンサルティングに従事してきた。また現在は、公共団体側の管理職としてコンサルタントを活用する立場にもある。つまり、コンサルタントとしての「プレーヤー」と、コンサルタントを発注・評価する「利用者」の両方を経験してきたことになる。

こうした経験を通じて、「優秀なコンサルタント」と出会う機会も多かった一方で、「なぜこの人はコンサルタントとして十分な価値を発揮できないのだろう」と感じる場面も少なくなかった。今回は、その中でも特に多いと感じる「座学には長けているが、リアリティに欠けるコンサルタント」について書いてみたい。

手法の要素を満たすことが目的になっている

システム企画や構想策定のプロジェクトでは、経営コンサルティングやシステムコンサルティングの世界で使われる様々なフレームワークや分析手法が存在する。SWOT分析、PEST分析、3C分析、4P分析、成熟度評価など、どれも有効な手法であり、私自身も活用している。
しかし残念ながら、これらの手法を使うこと自体が目的になってしまっているコンサルタントを見かけることがある。

資料には多くの分析結果や整理図が並び、一見すると非常によくできているように見える。しかし、その先にある「本当に実現できるのか」「組織は受け入れられるのか」「予算要求や事業採択につながるのか」といったリアリティが見えてこない。
要するに、手法の穴埋めはできているが、意思決定者を動かすためのストーリーが弱いのである。

システム企画は、きれいな資料を作ることが目的ではない。組織を動かし、予算を獲得し、プロジェクトを実現することが目的である。
その組織の文化や現場の事情を理解せずに上から理想論だけを語っても、最終的には「絵に描いた餅」となり、企画が採択されないケースも少なくない。

開発現場のリアルが見えていない

もう一つ気になるのが、システム開発プロジェクトの管理支援に携わるコンサルタントである。
プロジェクト管理の標準や品質管理の考え方、レビュー手法や各種管理指標については非常に詳しい。知識量だけ見れば私より詳しい方も多い。
しかし話をしていると、「この人は実際の開発プロジェクトの修羅場を経験したことがないのではないか」と感じることがある。

例えば、開発ベンダーが進捗遅延や品質課題を報告してきたとする。
表面的には報告内容を評価し、管理ルールに照らして問題点を指摘することも重要である。しかし、本当に重要なのは、その報告の裏側にある事情を読み取ることだ。

  • なぜ今このタイミングで報告してきたのか。
  • なぜその表現を使ったのか。
  • なぜ明言を避けているのか。

開発現場を経験している人間であれば、その言葉の裏にあるリスクや不安、組織内で発生している問題の兆候を感じ取れることがある。
時には、報告資料よりも会議中の一言の方が重要なサインであることも少なくない。
しかし、現場経験が乏しいコンサルタントは、どうしても報告された事実だけを見てしまい、その背景にある危険信号を見落としてしまう。

コンサルタントに求められるのは「現実を知る力」

もちろん、体系的な知識やフレームワークは重要である。コンサルタントにとって座学は欠かせない武器だ。
しかし、知識だけではクライアントの課題は解決できない。

  • 現場で何が起きているのか。
  • 組織は本当に動けるのか。
  • この提案は実現可能なのか。
  • そのプロジェクトは本当に成功できるのか。

こうした問いに答えるためには、知識だけではなく現実を知る力が必要になる。
私は優秀なコンサルタントほど、フレームワークを知りながらもむやみに振り回さないと感じている。言い換えると振り回されない、ともいえるか。現場の声に耳を傾け、人の表情を観察し、組織の空気を読みながら、必要な時だけ知識や手法を使う。

知識はあくまで道具である。道具を使いこなすためには、現場というリアリティを理解することが何より重要なのではないだろうか。システム開発プロジェクトに携わるシステムコンサルタントであればなおさらだ。