JRA指定席入場ゲート「顔パス」が便利

以前のコラムで、JRAの馬券購入システム「UMACA」について書いたことがある。今回は、東京競馬場の指定席で利用されている顔認証システムについて紹介したい。

東京競馬場の指定席は、「JRA指定席ネット予約」による完全事前予約制となっている。料金は通常開催日で1,000円〜4,000円程度、G1開催日になると3,000円〜9,000円程度と、開催日によって変動する。席種はS席、A席、B席、C席に加え、比較的リーズナブルなスマートシートも多く用意されている。

指定席を予約すると、当日はQRコードが発行される。このQRコードで競馬場へ入場でき、さらに指定席エリアのゲートも通過できる仕組みだ。

ただ、指定席というのは、一度座ったらそのまま動かないわけではない。
レース前にはパドックへ馬を見に行くし、食事や買い物に行く際には指定席エリアの外へ出る必要がある。つまり、意外と出入りが多いのである。

そのたびにスマートフォンからQRコードを呼び出してゲートにかざすのだが、これが地味に面倒だ。特に混雑時は、スマホ操作に手間取る人も少なくない。

そこで用意されているのが、当日限定で利用できる顔パスである。

登録方法は非常にシンプルだ。端末にQRコードをかざし、カメラの前で顔写真を1枚撮影するだけ。所要時間は30秒程度で、これだけで登録が完了する。
一度登録してしまえば、その後はゲート前に立つだけで自動認証され、2秒ほどでゲートが開く。まさに駅の自動改札のような感覚で利用できる。

この仕組みの良いところは、まず「登録の簡単さ」にある。

競馬場では、レース発走前になると多くの人が慌ただしく移動している。その中で、最小限のオペレーションで登録できるのは非常に優秀だ。JRAは以前から感じていることだが、UI/UXの作り込みがかなり上手い。

そしてもう一つは、「入場のスムーズさ」である。

QRコード方式は便利ではあるが、スマホを取り出し、画面を表示し、読み取り位置に合わせる、という一連の動作が必要になる。人によってはここでかなり時間がかかる。
一方、この顔認証システムは処理速度が非常に速い。最近の駅の改札レベルで人をさばけるため、混雑時でもほとんどストレスなく通過できる。

最後に「セキュリティへの配慮」も忘れていない。

写真にもあるように「登録した顔は当日に消去します」とある。これが残っていると、違う日にしれっとゲートが通れてしまうので当然と言えば当然だが、このようなセキュリティに配慮して、取り扱い方針をしっかり事前に知らせてくれるのも好印象だ。

顔認証というと、以前は「未来の技術」という印象が強かった。しかし今は、こうして日常の導線の中に自然に溶け込み始めている。システムというものは、高機能であること以上に、「利用者が意識せずに使えること」が重要なのだと改めて感じた。

して私は、その便利なシステムを活用しながら、眺めの良い指定席で競馬を楽しんだ。結果はさておき、東京競馬場5階A指定席からの景色はやはり素晴らしい。競馬そのものだけでなく、こうした観戦体験全体を含めて楽しめるのが、指定席の魅力なのだと思う。