FIFAワールドカップ北中米大会は、7月20日にスペインの2回目の優勝で幕を閉じました。今大会では、初参加のカボベルデの予想外の善戦、最強と言われる日本への期待など多くの話題がありましたが、3位決定戦と決勝戦の4チームに関する考察を、やや強引ですがプロジェクトマネジメントに関わる視点で述べたいと思います。
3位決定戦 ― イングランド対フランス

3位決定戦は、イングランドとフランスの両チームで合わせて10得点を取り合い、決勝戦よりも面白かったというコメントが多数ありました。優勝を逃したことで、監督は、勝敗を度外視し、チームとしての組織戦略の実行よりも、選手がやりたいようにプレーさせているように見えた試合でした。
従って、攻撃に重きを置いて、守備は必要最小限にするということになり、両チームとも得点が多いが失点も多いという結果になりました。
システム開発プロジェクトで、ある程度経験を積んだメンバーで構成されるチームでは、安心してメンバーに作業や管理を任せていると、進捗は計画を上回っているように見えるが、成果物を確認すると手抜きや連携不足による思い込みが発見されて、結局手戻りが多発して予算を超過した、というケースが散見されます。見かけの進捗だけを見ていても、真の成果は達成されていないという、形だけの定量的管理やEVM(Earned Value Management)で陥りやすい状況ですね。
イングランドとフランスの選手は、やりたいようにプレーしているように見えてはいるが、実は自分達で試合をマネジメントできる、プロフェッショナル達で構成されたチームだから、ゲームとして成り立った(=品質の高い成果を作り出した)のだと思います。
メンバーの開発の経験やスキルだけでなく、マネジメント意識も踏まえて、チームをマネジメントするスタイルを決めることが大事だと感じさせられました。
決勝戦 ― スペイン対アルゼンチン

決勝戦は、3位決定戦とは雰囲気が変わって、両チームとも勝つことを目指して全力で戦い、延長戦にもつれ込むという、見ごたえのある試合でした。
スペインは、8試合で失点1点という強力で組織的な守備と、選手個々人のアイディアを最大限に生かした多彩な攻撃を、高度にハイブリッドさせたチームでした。
一方、アルゼンチンは、対イングランド、エジプト戦での試合終盤での大逆転を実現した、ハイパフォーマンスな一気呵成の攻撃力と、ゴールキーパーを含め選手個々人の高いスキルを生かした守備力を持つチームでした。
プロジェクトチームで言うと、スペインは個々に独自のスキルをもちつつ、マネジメント意識の高いメンバーで構成されるスクラムチーム、アルゼンチンは強力なPMの下で、高いスキルと責任感をもったタイガーチーム(特定目的を実現するための少数精鋭のチーム)のようなイメージです。この異なる特性をもったチームが、それぞれの特性を生かす作戦を徹底して実行したことで緊張感のある試合になったと思います。
ただし、アルゼンチンは、メッシの得点やアシストで試合を逆転したように、チームパフォーマンスは「メッシ(リーダー)×(他の10人)」で表され、メッシのプレーから機会を作ることがアルゼンチンの戦略であり、逆にスペインはメッシを抑えることが戦略となっていました。
アルゼンチンはメッシにボールをつないでチャンスを作ろうとしていましたが、スペインは常に2-3人でメッシを囲んでプレーさせないようにしていました。一方、スペインも再三の好機にシュートを決めきれないという、アルゼンチンの固い守備が際立つ状況が続きました。
結果として、戦略を徹底しつつも、新規メンバー投入でリズムを変えて得点したスペインが紙一重で勝ったという感じです。
プロジェクトの目標、制約、チームの特性などによって、マネジメントスタイルを決める必要はありますが、そのスタイルを徹底することと、状況に適応してスタイルを変えていくこと、この両方の視点をもつことがマネージャには必要であると認識させられました。
(自己紹介)
大手SI企業でのシステム開発プロジェクトのマネジメントとIT事業の企画・運営の経験、中堅ITサービス企業での事業経営の経験、及びIPAの試験委員として獲得した知識を基に、IT企業に対する経営・事業支援のコンサルティング、プロジェクトマネジメントに関わる組織・プロセス設計支援のコンサルティングに従事している。










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